Austenさんの論文が出版されました。

論文名-実験進化的手法によるリボソームRNA遺伝子の協調進化の解析
著者-ガンレイ オーステン、小林 武彦
掲載誌-Molecular Biology and Evolution
内容-リボソームRNA遺伝子(rDNA)は真核細胞では100コピー以上が巨大反復遺伝子群を染色体上に形成しています。面白いことにその半分以上は転写されていないにもかかわらず、全てのコピーは高度に均一化された状態で維持されています。今回、人為的にrDNAの1つのコピーに中立の変異を導入し、それがリピート全体にどのように伝播、あるいは排除されコピーの均一化が図られているのか解析しました。

原題;Monitoring the Rate and Dynamics of Concerted Evolution in the Ribosomal DNA Repeats of Saccharomyces cerevisiae Using Experimental Evolution.
Ganley AR, Kobayashi T. Mol Biol Evol. 2011 May 4. [Epub ahead of print]

rDNAと進化に関する総説がCellular and Molecular Life Sciences出版されました。

Kobayashi, T. (2011) Regulation of ribosomal RNA gene copy number and its role in modulating genome integrity and evolutionary adaptability in yeast. Cell. Mol. Life Sci. Jan 5. [Epub ahead of print]
本総説ではrDNAが進化の過程で如何にコピー数を増やしていったか。またそれがゲノム全体の変化、及び生物の進化にどのように影響したか、について新説を唱えています。

11月6日(土)秋葉原コンベンションホールにて恒例の遺伝研公開講演会を開催いたします。

11月6日(土)秋葉原コンベンションホールにて恒例の遺伝研公開講演会を開催いたします。詳しくは公開講演会ホームページ https://www.leaveanest.com/nig/をご覧下さい。大学院説明会も同時開催致します。 お近くの方は是非どうぞ。

当研究室によりリボソームRNA遺伝子のコピー数の謎が解明されました

タイトル:大過剰に存在するリボソームRNA遺伝子のコピーはゲノムの安定性の維持に重要である。
掲載誌:Science vol.327, p693-696 (2010)
論文名:「Abundance of ribosomal RNA gene copies maintains genome integrity」
著者名:井手 聖、宮崎 隆明、真木 寿治、小林 武彦

論文の要約:
遺伝子は通常1細胞あたり1コピーのみ存在するが、中にはコピーを増やし転写産物量を増大させている遺伝子もある。それらは増幅遺伝子と呼ばれ、同一遺伝子が染色体上あるいは染色体外に多数存在する。増幅遺伝子の代表格は、リボソームRNA遺伝子というリボソーム中に存在するRNAをコードする遺伝子で、真核細胞では数百~数千コピーが巨大な反復遺伝子群を染色体上に形成している。リボソームは細胞の全タンパク質の約80%を占めており、その骨格を作るリボソームRNAの遺伝子も1つでは足らず多数必要となる。しかし不思議なことに、その膨大なコピーの半数以上は転写されておらず、なぜこのような「働かない」余分なコピーが存在するのか長年の謎であった。今回我々はこの「働かないコピー」の役割について、それらはDNAにできた傷を修復するための足場となり、リボソームRNA遺伝子及びゲノム全体の安定性の維持に重要な役割を担っていることを解明した。(本研究は奈良先端大学院大学 真木 寿治教授との共同研究です)

原題:
Ide, S., Miyazaki, T., Maki, H., and Kobayashi, T. (2010)Abundance of ribosomal RNA gene copies maintains genome integrity.Science 327, 693-696.
DOI: 10.1126/science.1179044
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/327/5966/693

掲載新聞、紹介記事等:
2月16日朝日新聞朝刊
2月   科学新聞
nature reviews Mol.Cell Biol., vol.11, p160-
米国メディア 「The Scientists」
http://www.the-scientist.com/blog/display/57135/
JST 「Science Portal」 トップニュースhttp://scienceportal.jp/news/daily/1002/1002051.html
Current Biology 20, R368-R370.