最新論文の紹介-1
タイトル |
リボソームRNA反復遺伝子は協調進化により高度に均一化されている |
掲載誌 |
Genome Res. 2007, 17, 184-191 |
著者 |
オーステン ガンレイ、小林 武彦 |
論文の要約 |
反復遺伝子には協調進化と呼ばれる普通の遺伝子とは異なる進化様式を持つものがある。通常の進化では遺伝子に生じた変異が個別に排除、あるいは固定されていくのに対し、協調進化では反復遺伝子の一つに入った変異が組換えによりリピート全体に伝播し、協調的に変化していく。しかし実際に協調進化がどの程度の頻度で起こっているのかについては、リピート全体の配列を決めた例がほとんどないため不明であった。今回我々は反復遺伝子の代表格であるリボソームRNA遺伝子について、ショットガン配列決定法に用いられたrDNAを含む多数の断片の配列情報を元に、rDNA全体に渡って配列を決定しリピート間の多様性について解析した。その結果rDNAは協調進化を示さない他の反復遺伝子に比べて圧倒的にユニット間での相違が少なく、配列の均一化が起こっていることが判明した。また配列の変化が見つかった位置も遺伝子領域、非遺伝子領域で差が見られなかったことから、変異の伝播が迅速であり、個別の遺伝子に起こった変異は選択を受けていないことを示している。 |
原題 |
Highly efficient concerted evolution in the ribosomal DNA repeats: Total rDNA repeat variation revealed by whole-genome shotgun sequence data. |