静岡新聞(日曜版、科学欄)にて、「遺伝研-進歩と変革- 三島から最新報告」の第7回(平成20年10月26日)を担当しま した。
イラストは当研究所知的財産室の平井祐子さんの作品です。
「静岡新聞 社編集局調査部許諾済み」
イラストは当研究所知的財産室の平井祐子さんの作品です。
「静岡新聞 社編集局調査部許諾済み」
講義のタイトル「ゲノムの不安定性が引き起こす癌、細胞老化」
Indian Institute of Technology(IIT,Madras)から体験留学生 (学部3年生)が当研究室に来ています。
遺伝研に7月中旬までの2ヶ 月半滞在し、主に酵母の遺伝学を勉強します。
先日ベジタリアンの彼のために歓迎天ぷらパーティをやりました。
講義のタイトル「ゲノムの安定性は如何に維持されているのか?」
桜の見頃と重なり全国各地から8千人以上の方が見学に来られました。
当研究室は研究の紹介、DNA模型の折り紙の配布(荒木研究室作成)、DNA抽出実験を行いました。
多数のご来場ありがとうございました(会場が手狭で申し訳ありませんでした)。
また小林による講演会「生き物の寿命-ヒトは何才まで生きられるのか?」にも多数ご来場下さりありがとうございました。
いい質問が沢山あり、こちらの勉強にもなりました。
沼津市主催市民教養講座で「生物の老化機構」について講義をいたしました。たくさん質問して頂きありがとうございました。中でも「多くの生物で食べる量を減らすと寿命が延びる」という実験結果はショックが大きかったようです。食事が美味しく食べられなくなったらごめんなさい。
タイトル | 「細胞老化と癌化抑制におけるrDNAの役割 – rDNA仮説」 |
掲載誌 | BioEssays 30, 267-272 (2008); DOI: 10.1002/bies.20723 |
著者 | 小林 武彦 |
論文の要約 | リボソームRNA遺伝子(rDNA)は100コピー以上が繰り返して存在する巨大反復遺伝子であり、染色体中で最も安定性の低い領域です。そのためrDNAの状態(安定性やコピー数等)が細胞の機能に影響を与えている可能性が考えられます。本論文では、rDNAの遺伝子以外の生理機能として、老化促進作用とゲノムの安定性維持機構について考察しています。 以前よりゲノムの不安定化が細胞老化の原因の1つと考えられていましたが、その具体的な機序については不明でした。小林は元々不安定なrDNAが、時間の経過により他のゲノム領域よりも優位に(早く)不安定化し、その産物であるリボソームRNAの質と量を低下させることで、細胞老化を促進している可能性をあげています。つまりrDNAの不安定性が細胞の老化速度を決める1つの要因ではないかと推察しています(細胞老化のrDNA仮説)。 またrDNAはその不安定性ゆえに、外的、内的な刺激(紫外線や活性酸素等)に対して非常に感受性の高い領域です。この性質から小林はrDNAが一種の「ダメージセンサー」として機能し、刺激にいち早く反応し、チェックポイント制御等のゲノム保護機構を活性化するための「シグナル」を出す役割を担っているのではないかと推察しています(rDNAのダメージセンサー仮説)。この仮説によれば、rDNAの不安定性はアポトーシスや癌化抑制にも働いている可能性があり、今後重要な研究分野に発展すると期待されます。 |
原題 | A new role of the rDNA and nucleolus in the nucleus – rDNA instability maintains genome integrity Kobayashi, T. BioEssays 30, 267-272 (2008); DOI: 10.1002/bies.20723 |
COMPARATIVE GENOMICS VOLUME 1Methods in Molecular Biology , Vol. 395, Bergman, Nicholas H. (Ed.)
ISBN: 978-1-58829-693-1
8月から9月にかけて当研究室の「夏休み体験入学」が行われ、3名の学生さん(学部3年生)が参加しました。
短い期間でしたが酵母の遺伝学、バイオイメージング、マウスのゲノム解析等を体験して頂きました。
写真は井手研究員、坂技官に蛍光顕微鏡観察を教わる体験入学生。