加齢に伴うゲノムの変化を調べた論文がMol Cell Biol誌に出版されました。

雑誌名:「Molecular and Cellular Biology」 DOI: 10.1128/MCB.00368-20
論文タイトル:Age-dependent ribosomal DNA variations in mice
著者:Eriko Watada, Sihan Li, Yutaro Hori, Katsunori Fujiki, Katsuhiko Shirahige, Toshifumi Inada, and Takehiko Kobayashi

<論文概要>
なぜ年をとると病気になりやすくなったり、いわゆる衰えを感じるのでしょうか?その原因を探るため生物の設計図であるゲノム、中でも特に遺伝子数が多く変化が激しいリボソームRNA遺伝子に注目して調べました。
私たちは、定量研の白髭克彦教授、東北大学大学院薬学研究科の稲田利文教授らとの共同研究を行い、若いマウスと高齢マウスのリボソームRNA遺伝子を比べたところ、DNAメチル化の上昇、遺伝子の発現量の低下、DNA配列の変化(変異)を発見しました。興味深いことに高齢マウスで見つかった変異を酵母菌に導入したところ、酵母菌の寿命が短縮しました。リボソームRNA遺伝子に起こる変異がマウスでも老化の一要因になっていると考えられます。ヒトとマウスのリボソームRNA遺伝子は非常によく似ていることから、ヒトでも同様に老化の原因となっていると予想され、人の老化に伴う疾患の治療薬の開発などに繋がる可能性があリます。

<報道等>
11月1日 日本経済新聞朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65712390Q0A031C2MY1000/
プレスリリース
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/category/press_release/