小林の論文が2007年日本遺伝学会誌(Genes & Genetic Systems)GGS Prize 2007を受賞しました。


小林の論文が2007年日本遺伝学会誌(Genes & Genetic Systems)GGS Prize 2007を受賞しました。
10/10/07
受賞論文の要約リボソームRNA遺伝子の安定化戦略
 -DNA組み換え、姉妹染色分体接着、染色体凝縮のコラボレーションリボソームRNA遺伝子(rDNA)は100コピー以上がタンデムに連なった巨大反復遺伝子群を染色体上に形成しており、真核細胞のゲノム中で最もユニークな領域の1つである。通常反復遺伝子ではリピート間での相互作用が生じ、コピー数の減少や転座、染色体の不分離等の異常を引き起こすと考えられるが、rDNAについては「特別な機構」により常にほぼ一定のコピー数が安定に維持されている。本総説では、その「特別な機構」について筆者らの研究を中心に紹介する。受賞論文Kobayashi, T. (2006). Strategies to maintain the stability of the ribosomal RNA gene repeats. Genes Genet. Syst. 81, 155-161.

夏休み体験入学終了

8月16日~27日、当研究室の「夏休み体験入学」が行われ、2名の学生さん(学部3年生)が参加しました。
短い期間でしたが酵母の遺伝学、ゲノム構造解析、バイオイメージング、DNA塩基配列決定等、体験して頂きました。今後の進路決定の参考になれば幸いです。

写真はGanley助教と熱心にデータを解析している体験入学生。

最新論文の紹介

タイトルリボソームRNA反復遺伝子は協調進化により高度に均一化されている
掲載誌Genome Res. 2007, 17, 184-191
著者オーステン ガンレイ、小林 武彦
論文の要約反復遺伝子には協調進化と呼ばれる普通の遺伝子とは異なる進化様式を持つものがある。通常の進化では遺伝子に生じた変異が個別に排除、あるいは固定されていくのに対し、協調進化では反復遺伝子の一つに入った変異が組換えによりリピート全体に伝播し、協調的に変化していく。しかし実際に協調進化がどの程度の頻度で起こっているのかについては、リピート全体の配列を決めた例がほとんどないため不明であった。今回我々は反復遺伝子の代表格であるリボソームRNA遺伝子について、ショットガン配列決定法に用いられたrDNAを含む多数の断片の配列情報を元に、rDNA全体に渡って配列を決定しリピート間の多様性について解析した。その結果rDNAは協調進化を示さない他の反復遺伝子に比べて圧倒的にユニット間での相違が少なく、配列の均一化が起こっていることが判明した。また配列の変化が見つかった位置も遺伝子領域、非遺伝子領域で差が見られなかったことから、変異の伝播が迅速であり、個別の遺伝子に起こった変異は選択を受けていないことを示している。
原題Highly efficient concerted evolution in the ribosomal DNA repeats: Total rDNA repeat variation revealed by whole-genome shotgun sequence data.
Austen R.D. Ganley and Takehiko Kobayashi
Genome Res. 2007, 17, 184-191